一般財団法人京都工場保健会
森口次郎
平成30年7月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、平成31年4月に改正労働安全衛生法が施行され、産業医・産業保健機能が強化されることとなりました。この改正を受け、産業医は、「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない」と明示されるなど、産業医をはじめとする産業保健職にはこれまで以上に、専門性の維持・向上に努めるとともに、その職業倫理に照らして業務に取り組むことが求められていくと考えられます。
産業保健職を取り巻く近年の状況を振り返ると、産業医においては、日本産業衛生学会による専門医制度に加えて、平成27年度に社会医学系専門医協議会が設立され、平成29年度から専攻医の受け入れが開始されました。産業看護職には、平成27年から日本産業衛生学会の新たな制度として産業保健看護専門家制度の運用が開始されており、産業心理職には、平成29年に公認心理師法施行を受けて、わが国初の心理職の国家資格「公認心理師」制度が始まっています。作業環境測定士においても、平成26年に日本作業環境測定協会認定オキュペイショナルハイジニストが、国際オキュペイショナルハイジーン協会(IOHA)の認証を得て、欧米の資格と並ぶ質のものであることが示されています。
このような状況から、本学会を私たち産業保健職の資質向上や連携のあり方を見直す機会にしたいと考え、メインテーマを「産業保健職のキャリアを考える~私たちの未来予想図~」としました。
教育講演では、スポーツビジネスの専門家である立命館大学の種子田 穣 教授を招き、プロスポーツの社会貢献を中心に、私たち専門職の成長につながる内容の講演をいただきます。ランチョンセミナーでは、東京大学の松平浩特任教授を招き、腰痛がプレゼンティーイズムに与える影響および腰痛の予防策について健康経営の視点も含めた講演をいただきます。
基調講演には、産業医科大学森晃爾教授を招き、「我が国の産業保健プロフェッショナルの育成システムーこれまでと今後」と題し、産業医の専門医制度や教育、産業看護職の資質向上や品質管理などについて幅広く講演いただきます。それに続くシンポジウム「『よりよい産業保健サービスをめざして』~専門性向上と連携強化~」では、産業看護職、オキュペイショナルハイジニスト(作業環境測定士)、公認心理師、医師などがそれぞれの専門家制度や研修の工夫などについて紹介した後に、多職種連携の強化・向上をテーマに討論する予定です。
懇親会では、伏見の地酒や趣向を凝らした企画を用意してお楽しみいただきます。
みなさまのご参加と、一般演題へのご応募を心よりお待ち申し上げております。
学会長 森口 次郎 (一般財団法人 京都工場保健会)
事務局長 櫻木 園子 (一般財団法人 京都工場保健会)
顧問 松井 道宣(一般社団法人 京都府医師会 会長)
顧問 渡邊 能行(京都先端科学大学 健康医療学部 看護学科教授、健康医療学部長)
顧問 丸中 良典(一般財団法人 京都工場保健会 診療所長)
実行委員:(50音順)
今川 かおる(オムロンエキスパートリンク株式会社 保健師)
内山 鉄朗(オムロンエキスパートリンク株式会社 医師)
大塚 創平(株式会社村田製作所 医師)
片桐 陽子(栄仁会 京都駅前メンタルクリニック 臨床心理士)
川畑 真理(株式会社SCREENビジネスエキスパート 保健師)
川村 和子(株式会社村田製作所 医師)
櫻木 園子(一般財団法人 京都工場保健会 医師)
佐本 一 (一般財団法人 京都工場保健会 作業環境測定士&日測協認定オキュペイショナルハイジニスト(IOHA認証))
杉本 二郎(京都産業メンタルヘルスセンター からすまメンタルクリニック 医師)
中川 克 (立命館大学 保健センター 医師)
中山 健夫(京都大学大学院 医学研究科 健康情報学分野 医師)
原田 昌子(パナソニック健康保険組合 保健師)
古海 勝彦(任天堂株式会社 医師)
水本 正志(一般財団法人 京都工場保健会 臨床心理士)
村田 理絵(一般財団法人 京都工場保健会 保健師)
山田 達治(京セラ株式会社 医師)